パロディからオリジナル特撮へ
 『反射人間第一号〈予告編〉』終了後、仏陀電影は長編特撮映画『SCIROP』に着手した。『ブッダマン』が上映会などで受けまくっている頃であり、『反射人間‥』でも笑いが取れてまずまずの成功を収めたために勢いに乗っていたのである。
 そこでかねてからの悲願であった”円谷特撮への挑戦”を実行すべく、企画書ができあがったのだった。(注:ここで言う円谷特撮は1988年当時のCG抜きのアナログ特撮を指す。もっと言えば我々の目指した円谷特撮は1960年代ごろまでの王道特撮であった。)
■設定
 198×年。突如外宇宙から飛来した『銀河連邦』宇宙軍に占領され、併合された地球。
人類社会は一変し、銀河宇宙へと出て行くものが続出。地球の人口はどんどん減少していった。
 そんな中で、太古より人類社会に重なり合って存在してきた『二元世界』と呼ばれる魔界の住人は異星の支配に反発し、各地で怪事件を頻発させていた。
 この事態を重く見た地球総督府は怪事件専門の対処機関を設立し、問題解決に当たらせた。[Science-Reserch-Organization-Of-Planet]”サイロップ”と呼ばれたその機関は最先端の科学装備で魔界からの挑戦に立ち向かうのだ。
■ストーリー
 SCI-ROP捜査官である桐生大輔は、後輩の考古学研究員”天野美弥”から重大な相談を受けた。

魔界から地上に侵攻する空間の裂け目は一部の遺跡にのみ確認されており、政府はこれら歴史的遺跡をすべて厳重な監視下に置いていたのだが、天野の同僚の研究員がその禁を破って独断で遺跡発掘に向かったというのである。
 彼らが向かった遺跡が魔界の重要な拠点であるかもしれない証拠を見せられた桐生は直ちに行動を開始した。
 その頃、研究員が向かった”有角遺跡”では異変が発生し、遺跡に封ぜられた魔神が研究員を同化。
魔神は有角一族の巫女を求めて怪物化した研究員を街へと送り込んだ…。
 現界に復活せんとする魔神と、それを阻止せんとするSCI-ROPの攻防戦が始まった!
『SCIROP』の目指した特撮 
 SCI-ROPでは前作までの特撮で使用した技術を利用し、1メートル四方のミニセットを複数制作して組み合わせたり、当時思いつく限りの工夫を重ねて撮影が行われていった。(いわゆる「特撮ステージ」を金属フレームで製作して、地上高1メートル程度の高さに撮影用セットを組み、撮影アングルの自由度を確保。なおかつステージ下から火炎噴射や地割れの表現などのギミックも仕掛けられるようになった。)
 さらに今回は戦闘機が登場するためにはじめて本格的な「操演」も実施。  この戦闘機の本編用コックピットはプロデューサー房田が全力を投入して一人で組み上げたもので、筋金入りの航空ファンである房田の知識とモデラー能力がいかんなく発揮された逸品となった。
 しかしやはり遠く及ばない点も多々あり、その最たるものが 巨大なステージで人間の入った着ぐるみを使用した特撮が実現できなかったということである。登場した魔神はデザインはいいとしてもいわゆる”手踊り”で表現されており、現在の感覚ではすんなりと観ていられないものがある。 また光線などの視覚効果の表現も精度のあまりよいといえないエリアルイメージ合成に頼っており、これもCG合成が当然となった現在ではなんとも陳腐なものと映ってしまう。
 しかしながら現在まで特撮カットの多さでは仏陀電影中一番の作品であり、われわれのやりたかったことをストレートに出した作品であることは変わりない。
1990年よみうりテレビ『CINEMAだいすき!フィルムフェスティバル90』で 予告篇オンエア。
●1990年PFFアワード関西セレクション入選、テアトル梅田にて上映。
●1995年横浜ケーブルTV『アマチュアビジュアルショックG』で放映。
●使用カメラ=FUJICAnewZC1000
■1990年度作品。シングル8カラー 50分。モノラル。
監督・脚本:向井智司 製作:房田泰冶、鈴木洋一郎、西川隆弥、栗田俊幸
出演:島上 亨、西川隆弥、尾川充子、斎藤 勝、生方 偉、小野寺 博、霜下朱美、竹下心也、他
協力:日本包材有限会社、ファームウェアシステム株式会社、花園大学演劇部、喫茶 洲和
SPECIAL THANKS:藤本佳昭、藤本京子