70年代特撮映像に使用されたオートバイを検証する!!

 1971年(昭和46年)にスタートした『仮面ライダー』から、近代バイクを使ったアクション特撮の新たな系譜が始まった。
 私達は改めてヒーローの乗り物としてのオートバイの魅力に取りつかれてしまったのだ。
 しかし、作品の内容などは多くの資料などで研究されているが、そこに登場した重要なアイテムであるオートバイに関してはその正確なモデル特定すらロクに行われていない。(ホントはあるんだろうが余り目に触れない)

 そこで少なくとも私の分かる範囲で、登場したオートバイの原型の特定と諸元の掲載を行っておきたい。


index・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.『仮面ライダー』(旧一号ライダー編)
  T20、SL350K1
2.『ワイルド7』(実写版)
  GT750
3.『仮面ライダー』(2号ライダー編〜その1)
  W1スペシャル、CB350EXPO
4.『月光仮面』(旧作・50年代特別編)
  C70(72)


1.『仮面ライダー』(旧一号ライダー編)

○初代サイクロン(フルカウル)

 さっそうと走り去る旧一号ライダーのオートバイ。当時のGPレーサーのフルカウリングに身を包んだサイクロン号の勇姿は当時の私達を一瞬で魅了した。

 なんといってもレーサーレプリカなんて影も形もない時代である。ハンドルがちょっと低いだけでも警察官が舌なめずりしながら切符を切ってくれた時代だ。
 実は私はサイクロンが当時のGPレーサーだと信じていたのだが、最近調べたところ残念ながらというか、当然というか、ファクトリーマシンでも市販レーサーでもないことがわかった。

 初代サイクロン号はスズキのT-20という市販オートバイを改造し、フルカウルを取り付けたものであった。(ホンダCB400であると書かれた本もあるが、71年当時にCB400はまだ存在していない。原型であるCB350FOURが登場するのは72年であり、記念すべき名車CB400FOURが登場するのは74年12月4日である。だいたい、画面でも2スト特有の紫煙を吐いていた。)
 
 ではスズキT-20とはどんなオートバイだったのか?


スズキT-20

《主要な諸元》
スズキT−20

エンジン:空冷2ストローク/ピストンバルブ2気筒
排気量:247cc
ボア&ストローク:54mm×54mm
圧縮比:7.3
最高出力:25ps/8,000rpm
最大トルク:2.42kg−m/7,000rpm
変速機:6段
始動方式:キック
車両重量:145kg
価格:18万7千円(1965年)

△スズキ初の本格的スーパースポーツ!

 1965年に発表されたT20はスズキにとって国際戦略車とも言えるモデルだった。
 スズキ初のパイプ製ダブルクレードル・フレーム、クラス初の6速ミッションの採用、ライバルのヤマハYDS3を上回る25馬力の出力。そしてその軽量車体と最高出力の生み出す最高速度160km/hは確実にライバルたちを上回る性能であった。
 現在の非常に調教された2ストバイクからは想像もつかないそのパワーバンドの狭さも特筆だろう。マニアックなピーキーな出力特性だった。
 その後細かいマイナーチェンジを受けて名称もT250に変わり、名高いGTシリーズに受け継がれていく。



○変形前サイクロン

 変身前の本郷猛が乗っていたオートバイであり、その特性から変身後もアクションシーンで使用されていた変形前サイクロンはもちろん、カウル付きのT20ではない。
 これはかなり原型が露出しているので特定は容易で、モデルはホンダSL350である。(これもCB350DTなんて書いてある本があるが、そんなバイクは存在しない!DTって、ヤマハのDT1とくっつけたのか?)

 ではSL350を紹介。



ホンダ SL350K1


《主要な諸元》

ホンダSL350K1

エンジン:空冷4ストローク/OHC2気筒
排気量:325cc
ボア&ストローク:64mm×50.6mm
圧縮比:9.5
最高出力:30ps/9,500rpm
最大トルク:2.50kg−m/7,500rpm
変速機:5段
始動方式:セル/キック
車両重量:165kg
価格:21万7千円(1970年)

△ホンダのダート・トラッカー

 1970年登場のSL350はロードモデル志向の強かった当時のホンダの精一杯のダートモデルであった。
 4ストロークの重量の問題と出力の問題から、戦闘力の高い2ストの他社製マシンにかなうものが造れないという判断から、平坦なオフを突っ走るダートトラッカーが選択された。こういった事情からオフロードマシンとしては特筆すべきものは少ないが、当時の低い舗装率の日本の道路事情には合ったモデルだったと言えるだろう。なおK1は発売1年後に各部を改良して登場したモデル。


○その他のオートバイ

 放送開始当時は特定のメーカーから強力なバックアップは行われていないためか、種々雑多なモデルが登場する。

滝和也が初登場するゲバコンドルの回で、滝が結婚式から新婚旅行にサイドカーで出かけるが、そのモデルはCB350EXと思われる。

 また、ショッカーの戦闘員が旧一号編ではよくオートバイに乗って登場するが、サイクロンの原型であるT20などがそのまま登場していたりする。
 確実に確認はできていないが、第三話のさそり男の話で本郷の友人である早瀬が乗っているバイクはCB450K0ではないかと思われる。
 これらに関しては映像の再吟味を行って、追って追加していきたいと考えている。




2.『ワイルド7』(実写版)
 

○実写版ワイルドの標準バイク

 『ワイルド7』は望月三起也氏原作の70年代を代表する異色バイオレンスマンガだ。法で裁けぬ悪党を独自に判断して処刑する権限を持つ特殊警察官、しかも全員筋金入りの悪党というスゴイ設定は今でも十分すぎるほど斬新。

 原作ではメンバーは全員が個性的なバイクに搭乗して活躍しているが、主役の飛葉はホンダCB750K0に乗っていた。

 しかし実写化にあたって、メンバーの駆るバイクはほとんどがスズキGT750に統一された。(チャーシューのみTS250)
 協力がスズキ自動車であったのはもちろんだが、予算的にもハーレーやらドカティをそろえるわけにはいかなかったのだろう。撮影ではどんどんすっころばしたりしていたのだから当然と思える。

 ではわれらが実写版ワイルドの標準バイクGT750の内容を紹介しよう。
 


スズキGT750

《主要諸元》

スズキGT750

エンジン:水冷2ストローク/ピストンバルブ3気筒
排気量:738cc
ボア&ストローク:70mm×64mm
圧縮比:6.7
最高出力:67ps/6,500rpm
最大トルク:7.7kg−m/5,500rpm
変速機:5段
始動方式:セルフスターター/キック
車両重量:214kg
価格:38万5千円(1971年)

△颯爽!ウォーターバッファロー
 
 1969年発売のホンダCB750は国内にナナハンブームを引き起こしていた。
各社も負けじと750ccバイクを市場に送り込んでいたが、スズキも1971年に750ccバイクを発売する。
 それがGT750である。

 GT750の最大の特徴は当時非常に珍しかった水冷エンジン冷却システムを採用していたことだ。
 これはマルチシリンダーにした場合、熱的に不利になる中央気筒の冷却を考えた末の選択であった。
 国産初の水冷3気筒2ストロークエンジン、4本マフラーは充分なボリュームを持ち、ウォーターバッファローの愛称で呼ばれる人気モデルとなった。
 以後、4ストロークのGS750が搭乗するまで、スズキのフラッグシップモデルとしてGT750は進化していくのである。(実際には安全性を追求した結果、重くてジェントルなマシンになってゆくのだが)

モデルチェンジで前輪ブレーキはディスクブレーキになったが、個人的には初期型のツーリーディングのごっついドラムブレーキが大好きだ。中央に水温計をレイアウトした三連メーターもカッコイイ!



 その他に登場するバイクは主にTS250(ひょっとしたらTS185かもしれないが確認は今のところできない)が、チャーシューとモヒカンのバイク、それにヘルキャットが乗るマシンに使われているようだ。
 当時は中間排気量のモデルが多く存在したためにTV画面から年式、形式を確実に突きとめるのはかなり難しい。
 これも今後さらに研究を進めたいと考えている。



3.『仮面ライダー』(2号ライダー編〜その1)

○続々登場する名車!2号ライダー編

 完全にスズキのバイクに統一されていない初期の仮面ライダーは70年代前半当時のバイク状況を濃厚に反映している。
 メインのサイクロンは後半に新サイクロンが登場するまで大きな変化はないが、一文字隼人や滝の駆るオートバイは様々な変遷を見せる。

 今回は「悪魔のレスラー、ピラザウルス」の回で確認できた滝の駆るバイク、カワサキW1スペシャルと、立花レーシングクラブの練習用バイクとして登場したCB350EXを検証しよう。


カワサキ W1スペシャル

《主要諸元》

カワサキ W1スペシャル

エンジン:空冷4ストローク/OHV2気筒
排気量:624cc
ボア&ストローク:74mm×72.6mm
圧縮比:9
最高出力:53ps/7,000rpm
最大トルク:5.7kg−m/5,500rpm
変速機:4段
始動方式:キック
車両重量:199kg
価格:33万8千円(1968年)

△伝説の名車ダブワン!

 滝がストーリー展開とは別に、非常にジェントルに乗っているオートバイ。
とても重量感があるが、幅はスリム。排気音は「仮面ライダー」はアフレコのバイク音が実にいいかげんなためにあてにならない。(この点、「ワイルド7」は本物の音を使っていたのがスゴイ!)しかし、特徴的なクランクケース右側の形状は…まちがいない!ダブワンだ。

 画面に登場していたのはダブワンスペシャル、ツインキャブに変更された2型である。
 エンジン形式はオートバイでは余り例のないOHV(コンロッドでバルブを作動させるアレ)、英国車のビッグツインを意識して登場したオートバイで、原型はメグロ・スタミナK2。

 右側にチェンジレバー、左側にフットブレーキという反対の構造は英車風で、マフラーはキャプトンタイプが採用されていた。
 ツインキャブ(VM28φ28mm)への変更により、圧縮比のアップや吸気バルブの拡大などが行われて出力は6馬力アップ。
 初期型よりスポーツ性が大幅に付加された。

 当時のデータとして、ゼロヨン加速13.7秒、最高速185km/」hが残っている。


CB350EXPO

《主要諸元》

ホンダCB350EXPO

エンジン:空冷4ストローク/OHC2気筒
排気量:325cc
ボア&ストローク:64mm×50.6mm
圧縮比:9.5
最高出力:32ps/10,000rpm
最大トルク:2.3kg−m/9,000rpm
変速機:5段
始動方式:セル/キック
車両重量:149kg
価格:20万9千円(1972年)

△CB77から続く名門CB

 72年といえばCB350FOURがデビューした年である。ホンダのインラインフォアシリーズの末弟として登場した350FOURは、伝説の名車CB400FOURの原型としても名高いバイクだ。
 しかしホンダにはCB72から続くツインエンジンの系譜も確固として存在しており、このCB350EXPOはその終焉部に位置するマシンである。
 かつては最強を誇ったこのクラスも、ライバル社の2サイクルハイパワーバイクに席巻され、ツインのCBは苦戦を強いられていた。
 翌73年にはエンジン、フレームとも新設計のCB350Tにフルモデルチェンジを果たし、76年にCJ系が登場するまで350は存続した。(77年に完全新設計のCB400Tが登場。)




4.『月光仮面』(旧作・50年代特別編)

○−憎まず殺さず許しましょう−最初の国民的ヒーロー

 70年代ではなく、50年代の作品であるが、ヒーローのバイクを語るなら避けて通れない『月光仮面』である。
 リメイクの映画も存在するが、やはりオリジナルの検証が先であろう。

 わずかな資料からの調査であるが、おそらくこのモデルと思われるのがホンダのC70である。
 こいつを真っ白に塗装していたようだ。



C70(72)

《主要諸元》

ホンダC70(72)

エンジン:空冷4ストローク/OHC2気筒
排気量:247cc
ボア&ストローク:54mm×54mm
圧縮比:8.2
最高出力:18ps/7,400rpm
最大トルク:不明
変速機:4段(ロータリー)
始動方式:セル/キック
車両重量:162kg
価格:16万9千円(1957年)

△神社仏閣型オートバイ

 CB72登場以前のスポーツバイク。ホンダドリームシリーズの初の2気筒モデルである。
 OHCのエンジンユニットは当時世界最高のメカニズムだった。
 独特のフォルムは「神社仏閣型」といわれるもので、本田宗一郎氏の発案と言われている。
 C72は潤滑方式をドライサンプからウエットサンプに変更されたもの。

特徴的なこのリジッドサスペンション!


次回に続く。(非常に更新遅れてます。ごめんなさい。)


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